NMNとNAD+の関係
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の前駆体です。NAD+は体内のエネルギー生産に不可欠な補酵素であり、ミトコンドリアの働きを維持する上で欠かせない存在です。
加齢とNAD+の減少
年齢とともに体内のNAD+量は低下します。これが細胞修復力や代謝の衰えに直結すると考えられており、加齢による慢性疾患や機能低下との関連も指摘されています。
臨床試験とエビデンス
これまでに行われた研究の中では、老齢マウスにNMNを投与することで以下の効果が確認されました:
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ミトコンドリア機能の回復
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骨格筋の若返り
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血管拡張作用
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認知機能の改善
人への臨床試験も進められており、慶應義塾大学などが実施した試験では、1日あたり250mg〜500mgを12週間摂取しても重大な副作用は報告されていません。
美容・スキンケアの観点から見るNMN
NMNが注目されているのは医療分野だけではありません。近年では、美容やスキンケアの領域においてもNMNが取り入れられるケースが増えています。NAD+の増加によって細胞の再生が促されることで、以下のような美容効果が期待されています。
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肌のターンオーバーの正常化
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ハリや弾力の維持
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紫外線や乾燥によるダメージからの回復
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くすみの軽減
また、NMNには抗酸化作用があるとされ、加齢による肌の酸化ダメージを抑える働きも期待されています。サプリメントとしてNMNを摂取することで、内側から肌を整える“インナーケア”として活用する動きが美容業界でも広まりつつあります。
特にスキンケアに力を入れている方々の間では、「高級化粧品よりも、体の内側からアプローチしたい」というニーズが高まり、NMNが選択肢として加わっています。
NMNはサプリメンとでも摂れる?
現在、NMNは医薬品ではなく健康補助食品として市販されており、多くの製品が「NMNサプリメント」として流通しています。これらは、日常的にNAD+の前駆体を補う目的で使われており、1日あたり125〜500mg程度の用量で設計されていることが一般的です。
製品の選定にあたっては、純度(99%以上推奨)、製造の安全性(GMP認証など)、成分の表示内容や第三者機関による検査結果の有無などを確認することが望まれます。また、体質や体調によっては実感の程度に個人差があるため、継続的な摂取の中で自分に合うかどうかを見極めることが大切です。
参考:NMNはどれがいい?市販の日本製おすすめNMNサプリ14選
NMNは医薬品ではない
現在のところNMNは医薬品としては認可されておらず、健康補助食品という扱いです。そのため、効果を過度に期待せず、あくまでも「予防的なサポート」として取り入れることが重要です。
今後の期待
NMNは今後さらに研究が進み、より明確な健康効果や適切な用量、長期的な安全性についての知見が増えていくと期待されています。現時点では、信頼できる製品を選び、医師の助言を得ながら活用していくことが推奨されます。
参考文献
- Mills KF et al. "Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice." Cell Metabolism. 2016.
- Irie J et al. "Effect of oral administration of nicotinamide mononucleotide on clinical parameters and nicotinamide metabolism in healthy Japanese men." Endocr J. 2020.
- Yaku K et al. "Nicotinamide mononucleotide, a key NAD+ intermediate, treats the pathophysiology of diet- and age-induced diabetes in mice." Cell Metabolism. 2019.